高桐先生はビターが嫌い。
先生とお出かけ。
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爽やかな風が吹き抜ける、車の中。
聞いたことのない陽気な音楽が、耳に流れてくる。
英語の歌詞。
英語は苦手だから、あたしにはその歌詞の意味はよくわからないけれど。
「っ、ねぇ篠樹!それ俺が持ってきたお菓子!」
「いいじゃんよこせよ。っつかじゃー俺の何処なの、」
「…」
「え、篠樹いまの左じゃね?」
「こっちのが近道なんだよ」
「せっかくカーナビ設定したのにガン無視してんじゃん」
「…」
世の中は、待ちに待っていた大連休。
所謂、ゴールデンウイーク。
本当だったら今頃は、部屋で掃除機をかけたり、宿題をしたり…。
あ、ショッピングにも行く予定があったな。
そんなことを考えながら、車の中に流れているその曲を、なんとなく口ずさむ。
ところで。
「あ、奈央ちゃん先にショッピングセンター寄る?」
「え、」
「服買いたいんだっけ。いいよ、俺選んであげる」
「っつか陽太に聞いてねぇっつの」
賑やかな車の中。
あたしはどうして、学校が休みのこんな日に、先生たちと一緒にいるんだっけ。
そう考えて、頭の中で時間を遡ってみる。
…遡ること約2時間ほど前。
あたしが朝気持ちよく寝ていたら、確か、いきなり玄関でチャイムが鳴って…
寝ぼけ眼で出てみたら、そこには何故か準備万端の先生たちが2人立っていて…。
…あれ?これってまだ夢の中?
そう思っていたら、突然2人に言われたのだ。
「一緒に釣りに行こう」と。
…で、よくわからないまますぐ準備させられて、2時間後の現在は、未だによくわからないまま…車の中にいる。