高桐先生はビターが嫌い。

頷いたはいいけれど、あたしはまた重要なことを思い出すと、後藤先生に問い掛ける。



「後藤先生、釣りはまだいいんですか?」



…ショッピングが楽しくて、思わず忘れかけていたけど。

よくよく考えてみたら、今日の本当の目的って釣りなんだよね。

そう考えて、あたしがそう問いかけながら首を傾げると、後藤先生が言った。



「ああ、それはまだ平気。夜のほうにしてもらったから」

「…夜の方?」



…って?

予約制の釣り場ってこと?

だけどあたしのそんな疑問を察してか、今度は高桐先生が言う。



「あ、日向さんには言ってなかったけどね、釣りの場所ってレストランなの」

「え、そうなんですか!」



何それ!何かオシャレじゃない!?

高桐先生の言葉にあたしが少し驚くと、後藤先生が言う。



「広い釣りのスペースが屋内にあって、釣ったのを自分たちで焼いて食べるっていうね。まぁレストランっつーか…」

「焼き肉店の海鮮版?みたいな。けど肉もオーダーできたよな?」

「できた。ちょい高かったけどね、確か」



後藤先生と高桐先生は過去に行ったことがあるようで、そう話したあと「ぜったいウマいから!」とあたしに言ってくれた。

期待しててよ、と。

あたしはそんな2人の言葉にわくわくしつつ、そのあとは先生たちと一緒にお昼のレストランに向かった。
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