高桐先生はビターが嫌い。
…………
ショッピングモールを出て、釣りに向かったのは夕方になってからだった。
あれから三人でホラー映画を観たりして、時間が経つのは本当にあっという間で…。
元々映画を観る予定はなかったけれど、「時間つぶしに」と後藤先生が言って選んだのが、世界最恐と言われているらしいホラー映画だった。
ホラー系はあたしは別に苦手じゃないけど、観る前に高桐先生はめちゃくちゃ嫌がっていて、後藤先生にずっと説得されていた。
…苦手なんだろうな。
だからなのか、現在の釣りに向かう途中の車の中では、そのホラー映画の話を今もずっと高桐先生がしている…。
「ヤバかったじゃん。誰、ヤバくないって言った奴」
「いや、今のお前なら我慢できるだろと思って。でも面白かったろ?」
「面白いっつーか…凄いな。あの……CGが凄かった」
「お前さ、素直に“怖かった”って言いな?大丈夫、別にカッコ悪く…ないから、たぶん」
「いや、カッコ悪いんじゃんか結局、」
後藤先生はそんな話を高桐先生としながら、可笑しそうに笑う。
…確かに高桐先生は、映画が凄く怖かったんだろうけど…それでも、はっきりと「怖かった」とは口にしていない。
だけどその時、代わりに高桐先生があたしに聞いてきた。
「日向さんはどうなの?」
「え、どうって何がですか?」
「映画。怖くなかった?」
あたしはその問いかけに少し考えると、やがて答えた。
「…そりゃあ、ちょっとは」
「っ、だよね!」
「けど高桐先生、クライマックスとか目瞑ってませんでした?」
「!」
あたしがそう言うと、高桐先生は一瞬言葉を失ってしまう。
…図星なんだと思う。というか、絶対そう。
だってあたしは映画の最中に見てしまったのだ。
本当に怖かったクライマックスのシーンを、高桐先生はずっと目を瞑っていて見ていなかったのを。
ショッピングモールを出て、釣りに向かったのは夕方になってからだった。
あれから三人でホラー映画を観たりして、時間が経つのは本当にあっという間で…。
元々映画を観る予定はなかったけれど、「時間つぶしに」と後藤先生が言って選んだのが、世界最恐と言われているらしいホラー映画だった。
ホラー系はあたしは別に苦手じゃないけど、観る前に高桐先生はめちゃくちゃ嫌がっていて、後藤先生にずっと説得されていた。
…苦手なんだろうな。
だからなのか、現在の釣りに向かう途中の車の中では、そのホラー映画の話を今もずっと高桐先生がしている…。
「ヤバかったじゃん。誰、ヤバくないって言った奴」
「いや、今のお前なら我慢できるだろと思って。でも面白かったろ?」
「面白いっつーか…凄いな。あの……CGが凄かった」
「お前さ、素直に“怖かった”って言いな?大丈夫、別にカッコ悪く…ないから、たぶん」
「いや、カッコ悪いんじゃんか結局、」
後藤先生はそんな話を高桐先生としながら、可笑しそうに笑う。
…確かに高桐先生は、映画が凄く怖かったんだろうけど…それでも、はっきりと「怖かった」とは口にしていない。
だけどその時、代わりに高桐先生があたしに聞いてきた。
「日向さんはどうなの?」
「え、どうって何がですか?」
「映画。怖くなかった?」
あたしはその問いかけに少し考えると、やがて答えた。
「…そりゃあ、ちょっとは」
「っ、だよね!」
「けど高桐先生、クライマックスとか目瞑ってませんでした?」
「!」
あたしがそう言うと、高桐先生は一瞬言葉を失ってしまう。
…図星なんだと思う。というか、絶対そう。
だってあたしは映画の最中に見てしまったのだ。
本当に怖かったクライマックスのシーンを、高桐先生はずっと目を瞑っていて見ていなかったのを。