高桐先生はビターが嫌い。
…………


それから釣りレストランに到着した後は、初めて釣りを体験した。

そこは完全予約制のお店だったらしくて、思っていたよりも釣りがしやすく、高桐先生との思い出もまた増えた気がする。

久しぶりの海鮮焼きもすごく美味しくて、気が付けば3人でわりと長時間滞在していて…。

…そして、その釣りレストランを大満足で出たあと。

約束通りに帰りの車は高桐先生が運転して、今度は後藤先生が助手席に座った。

今日は朝からいきなり先生たちが来てビックリしたけれど、何だかんだで楽しかったな…。

それにまだ、休みは残ってるし…ゴールデンウィークだし。

…しかし、そんなことを考えながら車に揺られること数時間。

ようやくマンションに到着して、若干眠気眼で車を降りて。

3人でエレベーターに乗って最上階で降りようとした、その先に…



「…あ」

「?」

「…げっ」


「!…っ、篠樹くん!」



目的の最上階には、何故か…見知らぬ若い女の人が、立っていた…。

…ちなみに、その女の人の姿に気が付いて「げっ」と声を上げたのは後藤先生。

高桐先生も知っている人みたいだけれど、もちろんあたしはその女の人が誰なのか知らないし、独り、頭の上に?を浮かべる。

…っていうか、綺麗な人だな…。

大人っぽいグレーのワンピースを着た、黒髪の長髪で清楚な感じの人…。

後藤先生とどんな関係なんだろう…。

そう思って、


「…どなたですか?」


隣にいる高桐先生に小声でそう問いかけたら、高桐先生が少し答えにくそうにしながらも答えてくれた。



「…えっと…」

「…?」

「…篠樹の、彼女だよ」

「!」
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