高桐先生はビターが嫌い。
「今日、こんなに遅くなったのはそれが原因だから。ごめんね、待たせて」



そう言うと、「これで多分大丈夫だから」と。

呟くようにそう言う高桐先生。

あたしが少し不安になると、それに気が付いて。



「あ、もちろん篠樹も交えてね」

「!」



そう言うと、少し悪戯っぽく笑った。



「べ、別に気にしてませんよ」

「え、ホントに?」

「……いや嘘です凄い気になりました今安心してます」

「してんじゃん、」



あたしがそう言うと、その言葉に少し笑う高桐先生。

いつもはご飯食べたあとは2人でゆっくりするけれど…



「…じゃあ、俺そろそろ帰るね」

「!」



明日もあるから、と高桐先生が椅子から立ち上がる。

…ちょっと寂しいけど、そうだよね。

あたしは、玄関に向かう高桐先生のあとをついて行きながら…ふと口を開いて言った。



「…で、結局仲直りはしたんですか?唯香さんと後藤先生」

「うーん…多分したんじゃないかなぁ。俺は途中で腹減ったのと、長引きそうだったからこうやって抜けてきたし」



そう言って、「でも、明日はいつも通りに来るから」と靴を履く。

そんな姿を、あたしは後ろから見ながら。



「…それと、先生」

「うん?」
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