高桐先生はビターが嫌い。
「何してんの?こんなとこで」
「!」
内心、「ヤバイなぁ」と思っていたら、高桐先生がそう問いかけながらあたしに近づいて来る。
そんな高桐先生の左手には、小さなコンビニの袋。
ああ、買い物をした後なのか。
あたしはそう思いながら、高桐先生に言う。
「あ…ちょっと、出かけてて」
「じゃあ今帰りなの?」
「う、うん…」
「えー、危なくない?もう22時過ぎてるのに」
高桐先生はあたしの言葉にそう言うと、ふと自身が身に着けている腕時計に目を遣る。
女性がこんな暗い中独りで歩いちゃダメでしょ。
なんて、そう言われるから。
これ、生徒だったらもっと怒られてるな。なんて、思ってしまった。
「…ごめんなさい」
「うん、無事ならいいけどね」
あたしがそう謝ると、高桐先生は「帰ろ」とあたしの隣に並ぶ。
ちなみに、今出会ったこのコンビニは、前に後藤先生と二人で入ったコンビニ。
さっきのアパート周辺に比べて、マンションに近づいてくると、街頭や人通りも多くなってきた。
…なんか、寒くなってきたな。
今日はワンピースだからあんまり厚着もできなくて、あたしがそう思って身震いしていると、それに気が付いたらしい高桐先生が言う。
「ん…寒い?」
「ちょっと。でも平気。マンションはもうすぐだし、」
しかし、あたしがそう言って、先を急ごうとすると…