高桐先生はビターが嫌い。
…………


そのあとは、敢えてコウマ君のことは口にはせずに、2人で他愛のない会話をしながら本当にコウマ君にマンションまで送って貰った。

あたしが通う学校からマンションまでは、徒歩で約15分。

その15分の間…確かにコウマ君と話していると楽しいけれど、コウマ君はあたしの学校生活の話しかしようとしなかった。

でもそれって…ここ最近の、ラインでのやりとりの時も…そう。

コウマ君はいつも、あたしの学校のことしか興味を持たない。

…いや、ほんとうに学校かな?

もしかしたら…



「…じゃあ、もうこの辺でいいよ」

「え、もしかしてこのでかいマンションがそうなの?」

「うん」

「やべー!」



だけど、そうこう考えているうちにもうあたしのマンションに到着したようで。

あたしはそう言うと、手を振ってコウマ君と別れる。

…もし本当にそうだったら、これっきりになる…こともあり得そう。


そう思っていたら…



「…じゃあ最後に」

「!」



その時。

ふいにまた、コウマ君が顔を近づけてくるから。

その行動を瞬時に読み取ったあたしは…



「…なに、奈央ちゃん」

「…」



再びキスをされるその前に、手でその行動を遮った。

だって…



「やめてって言ったでしょ?そういうのは」

「けど俺、こう見えて本気でね、」

「そうかな?」

「!」



あたしはコウマ君の行動を考えると、そんな彼に言った。



「コウマ君…本当は別に、興味ないでしょ」

「?」

「…あたしのことは」

「!」



あたしがそう言うと、コウマ君は…目を少し、見開いた。










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