高桐先生はビターが嫌い。
篠樹くんはそう言うと、その画面をあたしに見せて。

一方のあたしは、その手からスマホを奪う。



「どうして…っ」

「…」

「篠樹くんは知らないって、思ってたのに」



知られないまま、上手くやれてるって、思ってたのに。

あたしがそう言うと、篠樹くんは深いため息を吐く。

すると、あたしに言った。



「…最初に疑問に思ったのは、唯香から喧嘩をふっかけてきた時」

「!」

「最近やたらそっちから喧嘩腰になるから、不思議に思ってたんだよね。だから、別れたいのかな、とか。ほんとは陽太が好きなんじゃねぇかって、ずっと思ってた」

「…、」

「で、結局それ、正解で。唯香は奈央ちゃんに陽太を取られたくなくて、いろんなことしかけてただろ?確かに今の、奈央ちゃんに対する陽太の姿は、唯香の時と全然違うもんな。
しばらくの間怪しんでたら、そのうちコウマがウチの学校来てさ。言ってきたんだよ。“唯香さんがなんかヤバイことしようとしてる。俺を使おうとしてるから助けて”って」

「!!」



そこまで話すと、篠樹くんは。

残念だったな?とあたしの方を見遣る。

そのまさかの言葉に、思わずビックリしてその場で固まるあたし。

簡単に裏切られてた、なんて…。

…許さない。



「なんかアイツ、コウマ。ウチの学校の生徒で好きな奴いるらしくて。そのコの為なんだって、正直に俺に打ち明けに来たの」

「!」

「…唯香がコウマに何か指示を出す度、コウマは俺に打ち明けてたよ。…今度は帰り道の2人を盗撮か。
で、唯香はそのツーショットを陽太に送ったら、アイツは性格上すぐ信じ込んで不安になるのを知ってるから、それを利用したわけだ。最悪だな」

「…っ、」
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