高桐先生はビターが嫌い。
…………
時計の音が妙に響く、独りの部屋。
隅にうずくまって、膝を抱えるあたしは…さっきの、コウマ君との会話を思い出していた。
『コウマ君…本当は別に、興味ないでしょ』
『?』
『…あたしのことは』
そもそも、合コンの時からいろいろ可笑しな点はあった。
会話をしていた時のセリフのような口調。
“付き合うかもって、思ったかな?”なんて言った不自然で不思議な言葉。
そのあと、“思ってないよ”って返事をしたあたしの言葉に、安心したような…嬉しそうな笑顔を浮かべていたコウマ君のあの表情。
“会いたい女のコには会えた”っていうセリフ。
あたしの学校のことしかしようとしない不自然な会話。
それに…“市川”の存在に気が付くと、あたしの手を慌てて離したあの行動…。
彼の今までのそんな行動は、全てあたしの為なんかじゃない。
市川のためにあったんだ。
あたしがコウマ君に本当のことを聞くと、コウマ君はちょっとビックリしたあと…やがて観念したように言ったんだ。
『…なんだ。もうバレたの。早い。っつかごめんね』
『いや、別にそれは構わないけど…何で、』
『君、奈央ちゃん。狙われてるよ』
『え、』
『唯香さん。知ってるでしょ』
あたしはその言葉を思い出すと、思わず顔を伏せる。
『気を付けて。いま、奈央ちゃんに嫌がらせしてるの、唯香さんだから』
コウマ君はハッキリそう言うと、『俺は奈央ちゃんを誘惑しろって命令された側だから』と言って申し訳ない顔を、していた。
だからコウマ君は、本当は良い人…なんだと思う。
その後は、コウマ君の本当の好きな人がやっぱり市川だってわかって、「頑張ってね」なんて…応援の言葉をかけて、別れたけど…。
友達の恋の発展は、すごく嬉しいんだけど…。
時計の音が妙に響く、独りの部屋。
隅にうずくまって、膝を抱えるあたしは…さっきの、コウマ君との会話を思い出していた。
『コウマ君…本当は別に、興味ないでしょ』
『?』
『…あたしのことは』
そもそも、合コンの時からいろいろ可笑しな点はあった。
会話をしていた時のセリフのような口調。
“付き合うかもって、思ったかな?”なんて言った不自然で不思議な言葉。
そのあと、“思ってないよ”って返事をしたあたしの言葉に、安心したような…嬉しそうな笑顔を浮かべていたコウマ君のあの表情。
“会いたい女のコには会えた”っていうセリフ。
あたしの学校のことしかしようとしない不自然な会話。
それに…“市川”の存在に気が付くと、あたしの手を慌てて離したあの行動…。
彼の今までのそんな行動は、全てあたしの為なんかじゃない。
市川のためにあったんだ。
あたしがコウマ君に本当のことを聞くと、コウマ君はちょっとビックリしたあと…やがて観念したように言ったんだ。
『…なんだ。もうバレたの。早い。っつかごめんね』
『いや、別にそれは構わないけど…何で、』
『君、奈央ちゃん。狙われてるよ』
『え、』
『唯香さん。知ってるでしょ』
あたしはその言葉を思い出すと、思わず顔を伏せる。
『気を付けて。いま、奈央ちゃんに嫌がらせしてるの、唯香さんだから』
コウマ君はハッキリそう言うと、『俺は奈央ちゃんを誘惑しろって命令された側だから』と言って申し訳ない顔を、していた。
だからコウマ君は、本当は良い人…なんだと思う。
その後は、コウマ君の本当の好きな人がやっぱり市川だってわかって、「頑張ってね」なんて…応援の言葉をかけて、別れたけど…。
友達の恋の発展は、すごく嬉しいんだけど…。