高桐先生はビターが嫌い。
高桐先生はビターが嫌い。
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事の発端は、ある日の昼頃。
俺は佐藤先生に見送られて学校をあとにした後、大きくて立派なビルの前まで来ていた。
「…でけぇ」
ビルを見上げれば、まるで頭がくらくらしそうな雰囲気。
俺は佐藤先生に言われた言葉をもう一度小さく復唱すると、「よしっ」と。
やがて気合をいれて、その中に踏み入れた。
…その約30分後に起ころうとしていることは、もちろん知るはずもないまま…。
中に入って受付に行ったあとは、意外にもスムーズだった。
他の先生方が「会えない可能性の方が高い」と皆口をそろえて言うから不安だったけど、受付の人は俺が教師であることを言うと、
少しビックリしていたけれど、そのまま内線をかけてくれた。
その後スムーズに会ってくれることになったのは、事前に電話をしておいたからなのか、だからスケジュールを開けておいてくれていたからなのかもわからないけど、
ビックリするほどトントン拍子でついに社長室まで案内されると、俺は緊張しながらまた心の中で同じ言葉を復唱する。
社員の方がそのドアを開けてくれて、「失礼します」と中に入った時…
そこには、大きめのソファーに座って待って下さっている、“日向社長”の姿があった。