高桐先生はビターが嫌い。

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「…ただいまぁ」

「おー、おかえり」



もうだいぶ片付いたリビングで、パソコンをしていると。

その時コンビニに行っていた陽太が、ようやく帰って来た。

実はさっき、俺達は急にアイスが食べたくなって、でも買いに行くのがめんどくさくて。

じゃんけんをしたら、負けた陽太がコンビニに買いに行ってくれていたのだ。

俺はパソコンの画面から陽太に顔を上げると、その待ちに待ったコンビニの袋に手を伸ばした。



「チョコミントあった?」

「うん」

「ありがと。っつかどんだけアイス買ってんの」

「や、ついでだし買いだめしとこうと思って」



陽太はそう言いながら、「はぁ…」とため息まじりにダイニングの椅子に座る。

そこは、俺がパソコンをしている向かいの席。

俺は、カップ式のチョコミントアイスの蓋をあけながら、そんな陽太に言った。



「…なに、コンビニ行って疲れた?っつか他のアイス溶ける。早く冷凍庫入れて」

「んー…待って。っつか、そんなんじゃないけど」

「じゃ何。煮え切らないね」



俺がそう言って、アイスを一口、口にすると。

陽太が、ゆっくり椅子から立ち上がって言った。



「さっき、コンビニの帰りに偶然アイリちゃんに会った」

「おお、良かったじゃん」

「うん。会えたことは単純に嬉しかったんだけどね」

「?…どしたよ」

「別れ際に、なんか………“後藤くんによろしく”って、言われた」



陽太はそう言いながら、ようやく他のアイスを冷凍庫に保存する。

一方、そんなことを言われた俺は、普通の返事しかできなくて。

それがどうかしたかと聞くと、昔から弱虫なそいつは、不安げに俺に言った。



「…よろしくって何?ってか、俺それ言われた時、アイリちゃんめっちゃ言いにくそうにしてたよ。やばい」

「いやいや、何、やばいって。別に普通じゃね?お前とたまたま出会したから、ついでに俺にも、ってことだろ」
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