高桐先生はビターが嫌い。
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そしてその後、飛行機に揺られ続けることおよそ7時間後。

あたしは4年ぶりに、やっと日本に帰国した。

この4年間、実は日本に帰って来ることは一度もなかった。

高桐先生とも手紙でそんな話をしていて、ずっと寂しくはあったけれど、でも、今日は夢じゃない。

キャリーを引いて到着口を出ると、そこには市川が待ってくれていた。



「っ、市川!」

「あっ、日向!」



市川とも再会するのは4年ぶりだ。

実は市川には数日前に連絡を入れていて、そしたら「じゃあ迎えに行く」と言ってくれたのだ。

あたしは市川の元に駆け寄ると、思わずお互いに抱きしめ合った。



「ただいまっ…!」

「おかえり!」



高校の時、ちょっと派手な見た目をしていた市川は、20歳を過ぎた今はだいぶ落ち着いている。

黒に近い茶色い髪に、ナチュラルなメイク。

聞いたら今は公務員をしているようで、あまり見た目は派手に出来ないらしい。

しかも市川は車で迎えに来てくれていたから、さらにビックリした。



「車、持ってるんだ…」

「うん。高校卒業する前に免許とったから。あ、前乗っていいよ」

「ありがと」
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