高桐先生はビターが嫌い。
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その後、マンションを出るとあたし達は市川の車に戻った。
そしてまずはどこへ向かうのかと聞くと、最初は母校である高校らしい。
そこに行けば会えるかもしれない、と。
「なるほど」
「異動してなければね」
「その可能性も高いなー」
「でも!どこの学校に異動になったのか情報は手に入るよ!」
市川はそう言うと、さっそく車を走らせてくれる。
「…でも、ラインとかで連絡したほうが早いんじゃなくて?」
「んー…でもね、そっちでの連絡はそもそも全然してないんだよね…」
「ほんと奥手だな、日向は」
「う、うるさい」
それに、ちょっと不安もあるんだ。
確かにスマホがあるし、高桐先生の連絡先もまだ残ってはいる。
いるけど…もし、返って来なかったらって思うと…手紙みたいに。
…ああもう、先生に会いたいだけなのに。
あたしがそう思って窓の外の色を眺めていると、また市川が言った。
「高桐先生に会ったら、まず何ていうの?」
「え?んー…会いたかった!…みたいな?」
「ええ、何それフツーじゃん」
「ふ、フツーでいいじゃん」
あたしが市川の質問にそう答えるけど、市川はあたしの返答にそう言って笑う。
ってか、会えることが嬉しすぎて、会ったら何を言おうとか…はっきり言って考えてなかったんだよ。
あたしがそう思って改めて何を言おうか考えていると、やがて市川が車を停めて言った。
「ほら、着いたよ」
「!」