高桐先生はビターが嫌い。
コワイ。そう思っていたら。
ふとそうやって図星をつかれ、思わず顔を上げて高桐先生に目を遣る。
そしたら優しい視線と目が合って、あたしは少し、驚いた。
「…え?」
そして、あたしが目を見開くと、そんなあたしの様子に気が付いた高桐先生が言う。
「あ…あれ?違った?俺はてっきり、そういう意味なのかと…」
「い、いえ!間違って…ません。寂しかったのは事実で、実際の最大の理由はそれです。…けど、何で」
「…?」
「何で、高桐先生はそういうふうに思えるんですか?例え“寂しい”っていうのが理由でも、あたしが高桐先生を騙してたのには変わりないじゃないですか」
それに…話も、少し重たかっただろうし。
あたしがそう思いながら、高桐先生に問い掛けると、一方の高桐先生は…何故か少し困ったような顔をして。
「何でって聞かれてもなぁ…直感的にそう思っただけだし」と考えるようにそう言って、あたしを見遣る。
それとも、あたしが知らなすぎるだけなのかな?
人って、自分が思っているよりは冷たくはないこと。
そう思っていたら、また高桐先生が言う。
「…まぁ、人って、必ず何かしら“理由”があるからね」
「…?」
「そりゃあ最初は、俺だって日向さんの嘘は悲しかったし、ショックだったよ。
けど、“寂しい”のが本当の理由なら、俺が力になってあげればいいだけの話でしょ」
「!」
「こうやって、何かの縁があって、しかも3回も!出会ってるわけだからさ」