高桐先生はビターが嫌い。
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「で、動画。撮ってきてくれた?」
「…あっ!」
そして、その後の夕飯。
高桐先生と後藤先生の部屋で、三人で急きょタコ焼きパーティーをすることになったあたしは、先生たちの部屋にお邪魔していた。
そこで、後藤先生の焼き立ての美味しいタコ焼きを食べていたら、ふいに後藤先生にそんなことを言われたのだ。
…そういえば、すっかり忘れてたなぁ。
高桐先生へのネタ晴らしの時に、動画撮って来てよとか言っていた後藤先生の言葉を。
そしてあたしが「忘れてました」と言うと、その会話を目の前で聞いていた高桐先生が言う。
「撮らなくていいからっ。
ってかさ、ホント水臭いじゃん。篠樹だけ日向さんのこと知ってたとかさ」
「それはゴメンって。っつかさ、初日に挨拶に奈央ちゃんの部屋行ったとき、普通に部屋ん中に制服ハンガーにかけてあっただろ」
「それ見てない。ってか失礼だろ。勝手に部屋覗くなって。しかも女の子の部屋」
高桐先生はそう言うと、焼き立てのタコ焼きを一口、口に含む。
…美味しそうだけどすっごく熱そうだ。
いや、ほんと、絶品なんだけど。
あたしがそう思いながら、「まぁまぁ、いいんですよ」と言うと、後藤先生が嬉しそうに言う。
「ほんと?いや、なんかごめんね。ウチの陽太こういうこまけぇとこあってさ」
「篠樹が気にしなさすぎなんだろ」
「でもな、陽太。そういうとこも持ち合わせとかないと、また誰かに騙されるぞ」
「!!」
そう言って、後藤先生が可笑しそうに笑うから。
2人の中の良さに、自然と場が和む。
…いいなぁ。こういう信頼が出来る仲って。
2人の会話を聞きながらあたしがそう思っていると、後藤先生が言った。
「ってかさ、ずっと気になってたんだけど」
「?」
「奈央ちゃん、その頬のガーゼどしたの?」
「!」