高桐先生はビターが嫌い。

あたしはそう思いながら、一応またロールキャベツを火にかけて、お皿を用意する。

お箸の予備とかはないから割り箸を出して、コップにお茶を注いだ。



「…なんか、ありがとね。制服届けにきただけなのに。何か手伝おうか?」

「いえ、そのお礼なんでいいですよ。高桐先生は座ってて下さい。今日は先生にいっぱい助けてもらいましたから」



そう言うと、高桐先生の前にお茶が入ったコップを置いて、ロールキャベツが温まると、それもお皿に盛り付ける。

トマトがベースになったスープのロールキャベツ。

何度か味見はしたんだけど、喜んでくれるといいな…。

そう思いながら、あたしは内心ドキドキしつつそのロールキャベツを、高桐先生の前に置く。

他にもサラダやご飯なども用意していて、それも並べると高桐先生が言った。



「…わ、なんか凄いね。美味しそう」

「あんまりまじまじ見ないで下さいね。恥ずかしいんで」

「え、無理だよ。せっかく日向さんが作ってくれたんだし」



そう言うと、高桐先生は。

せっかくだから写メっとこ、なんて、ポケットからスマホを取り出して、目の前の料理を本当に写メる。

…女子か!

あたしはそんな高桐先生を見てなんとなく可笑しく思いながら、だけどそんなことに全く気がついていない高桐先生は、その後「いただきます」と手を合わせた。



「どーぞどーぞ」



そして、あたしは高桐先生の隣に座ってそう言い、高桐先生が感想を言うまでドキドキしながら食べないで待つ。

…どうだろ。口に合うかな。

そう思って、祈るような気持ちで待っていたら…



「……ん、ウマイ!」

「!」
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