一途な御曹司に愛されすぎてます
「周りの経営陣には大見得を切りましたが、やはり内心では不安を感じていました。なにしろ大きな初仕事でしたからね」


 なにもしゃべらなくなった私の代わりに専務さんがまた話し始めて、私は思考の淵から浮上した。

 いけない。話の途中で延々と考え込んでしまった。


「誰にも言えない不安と戦っているときに、あなたの元彼の声が聞こえてきたんです。正直、その場にうずくまりそうになりました」


 少し苦笑いした彼が、そこでいったん言葉を切る。

 でもすぐに晴れやかに微笑んだ。


「そんなときに矢島様の言葉を耳にして本当に救われました。あの喜びと感動はとても言葉では言い表せません」


 熱心に言い募る彼の表情がとてもキラキラしている。

 綺麗な黒い瞳がまるで宝石みたいに見えて、思わず見入った。


「それ以来、いつもあなたの言葉が私を支えてくれた。不安や孤独を感じたときは、私の理想や価値観を初めて認めてくれたあなたの存在を思い、ここまでやってこれました」
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