一途な御曹司に愛されすぎてます
 思いがけないことを聞いたように目を丸くした彼が、感無量といった声で私の名を口にする。

 やがてその両頬にサッと赤みが差し、眩しいほどの笑顔が浮かんだ。


「やはりあなたは私が思っていた通りの女性だった」


 彼の大きな手が私の両手をすっぽりと包み込む。

 その男らしく固い感触と温もりにドキッとした次の瞬間、さらに私の心臓を跳ね上げらせるような爆弾発言が彼の口から飛び出た。


「やっと言える。この一年、ずっとあなたを想い続けていました。どうか私と結婚を視野に置いてお付き合いしてください」

「……はい!?」


 ワンテンポ遅れてから襲ってきた衝撃に全身が固まった。

 ついさっきまで浸っていた大きな感動が、血の気と一緒に引き潮みたいに引いていく。

 な、なんだかものすごい問題発言を聞いた気がするけれど、聞き間違いかな?
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