一途な御曹司に愛されすぎてます
「あの、今、なんておっしゃいましたか?」

「どうか私と結婚を視野に置いてお付き合いしてください。と言いました」


 専務さんが、哲学書でも読んでいるような生真面目な顔で繰り返す。

 ……やっぱり聞き間違いじゃなかったみたい。

 それにどうやら彼の言い間違いでもなさそうだ。

 ということはまさか私は今、世界的な企業の御曹司様から、交際を申し込まれているということ?


「あー、えーっと、その……」

 すごいスピードで視線が泳いで、目が回りそうだ。いきなりの展開に頭の中が真っ白で、まともに思考ができない。

 なんで? どうして? なにがどうしてどうなってるの?

 疑問符がハリケーンみたいに体中を駆け巡っている。
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