一途な御曹司に愛されすぎてます
「よかった」

 そう言ってほころぶ顔立ちの美しさ。

 作り物のような端整な唇が生き生きと動き、すっきりした二重の両目が瞬くことが不思議にすら思えた。

 なにより、私がこの人から『好きだ』と告白されたことが、一番不思議。


「どうかお願いです。明日また、私にあなたのお時間をください」


 彼は懇願しながら、私の手をギュッと握りしめる。

 拒否を許さないその力強さは決して不快なものではなくて、私の動機が速まった。

 また会いたいと言ってくれたことが純粋に嬉しい。

 だから私は自分の気持ちに素直に従い、また小さくうなずいた。


「ありがとうございます」

 シャンデリアの明かりの下、彼がいっそう華やかに微笑んで、その素敵な笑顔に見惚れる。

 そうしてふたりでしばらく見つめ合った後、彼がポツリと言った。


「もっとあなたと、こうしていたい……」
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