一途な御曹司に愛されすぎてます
「俺さ、お前と別れてから何人かと付き合ったんだ。母さんや姉さんたちが次々と紹介してくるから、仕方なくだけどさ」


 テーブルに頬杖をついてそんなことを言い出した康平に、私はキョトンとした。

 別れた後の女性関係なんか話題にして、どういうつもりなんだろう? それこそぜんぜん興味ない話だ。


「でもみんな我の強いお嬢様ばっかりなんだよ。淳美はちゃんと俺の意見を尊重してくれたのに、そういう気遣いができない女ばかりで嫌になる」


 康平は苦々しく言い捨てた。

 私は自分が康平と釣り合わないと思っていたから、意見を尊重と言うよりも、彼の顔色を窺っていただけだ。

 でもお嬢様方との交際は、そうもいかないだろう。

 みんな生まれも育ちも康平と同レベルなわけだから、引け目を感じて遠慮する必要はないわけだし。


 でも康平って相手に譲歩するのが苦手なタイプだから、うまくいかないだろうな。

 付き合っていた頃は、彼のそんなところを男らしいと思っていたけれど。

『恋は盲目』とはよく言ったもんだなぁ……。


「他の女と付き合ってみて、よくわかった。おれには淳美が必要なんだって」


 康平の顔をボンヤリ眺めつつ適当に話を聞き流していたら、なにか変なことを言われた気がして我に返った。
< 211 / 238 >

この作品をシェア

pagetop