一途な御曹司に愛されすぎてます
 振り向いた全員が、息を呑んで黙り込む。

 なぜなら泣く子も黙るほどのイケメンが、こちらに向かって歩いてくるのが見えたからだ。


 初夏の光を反射する真っ白なシャツ。ブラックジーンズと白スニーカーというシンプルな姿なのに、こんなにカッコイイのはなんでだろう?


 ジャストサイズの服が、彼の彫像のような体型を際立たせているから?

 腕時計やプラチナバングルの輝きが、夏の景色に映えるからだろうか?

 たぶんそのすべてと、圧倒的な存在感と、隠しきれない彼自身の魅力のせいだろう。


「悠希さん」

 私は涙声で彼の名を呼んだ。

 追いつめられている状況を知ってか知らずか、悠希さんは晴れやかな笑みを浮かべながら近寄ってきて、私のオデコをチョンと突く。


「こら、なんで俺を起こさなかったんだよ。また消えたかと思って焦ったじゃないか」


 そして私の頭を優しく撫でながら康平一家に挨拶した。


「お話し中に失礼します。目が覚めたら淳美の姿が見えなかったので探していたんですよ。私の恋人はちょっと目を離すと、すぐいなくなるものですから」
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