一途な御曹司に愛されすぎてます
　蕩けそうな顔で私を特別扱いする悠希さんを見た康平一家は、どうやら私たちの関係が本当だと悟ったようだ。

　お姉さんたちは目を白黒させて大口を開けているし、康平とお母さんは強張った顔で唇を強く引き結んでいる。

　それぞれの驚愕の視線にさらされた私は、ひどく居心地が悪くて身を縮こませていた。


　だってニコニコしてると自慢しているみたいだし、逆にムスッとしてると偉そうだし。

　黙りこくっているのも態度が悪いし、変にへりくだっても嫌味に見える。

　いったいどうすればいいの？　ああ、とにかくもう、なんでもいいからここから連れ出してほしい。

　お願い、悠希さん！

　目で訴える私の気持ちを察してくれたのか、悠希さんが私の手を取った。


「今日はプライベートなので、これで失礼します。さあ淳美、おいで」


　私の指に嵌められた指輪が、日差しを反射してキラリと光る。

　その輝きを見たお姉さんたちが、身を乗り出して指輪を凝視した。

「すごい指輪……」

　今にも食いつかれそうな目つきが本気で怖くて、私はさり気なく指輪を手で隠しながら立ち上がった。
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