一途な御曹司に愛されすぎてます
顔も見えない出会い
「本当に、言葉にできないくらい素敵な所だね……」
この地を訪れてから、もう何度この言葉を口にしたかわからない。
チラチラと雪が舞い散る冬の夜。私は宿泊先での夕食を済ませてから、恋人とふたりで旅先の地を散策していた。
吐く息のすべてが真白に染まるほど、寒い。
合掌造りの茅葺屋根の上を覆う分厚い真綿のような雪の上に、しんしんと新たな雪が降り積もる。
集落に点在する屋敷の障子から漏れる黄色い灯りの群れが、この夜目にも白く照る極寒の雪景色を、幻想的に浮き上がらせていた。
「そうか? 俺はひたすら寒いだけだけどな」
恋人の新城康平(しんじょう こうへい)が、これも何度目になるかわからないセリフを言った。
前髪長めのマッシュパーマの頭の上に、次々と小さな雪が落ちてはアッシュグレーの髪を白く染めていく。
彼は鬱陶しそうに頭を振って一重の目を瞬かせながら、きちんと整えた眉をひそめてクシャミをした。
ダウンコートを難なく突き抜ける冷気に肩をすぼめる康平に、私は白い息を吐きながら笑いかける。
この地を訪れてから、もう何度この言葉を口にしたかわからない。
チラチラと雪が舞い散る冬の夜。私は宿泊先での夕食を済ませてから、恋人とふたりで旅先の地を散策していた。
吐く息のすべてが真白に染まるほど、寒い。
合掌造りの茅葺屋根の上を覆う分厚い真綿のような雪の上に、しんしんと新たな雪が降り積もる。
集落に点在する屋敷の障子から漏れる黄色い灯りの群れが、この夜目にも白く照る極寒の雪景色を、幻想的に浮き上がらせていた。
「そうか? 俺はひたすら寒いだけだけどな」
恋人の新城康平(しんじょう こうへい)が、これも何度目になるかわからないセリフを言った。
前髪長めのマッシュパーマの頭の上に、次々と小さな雪が落ちてはアッシュグレーの髪を白く染めていく。
彼は鬱陶しそうに頭を振って一重の目を瞬かせながら、きちんと整えた眉をひそめてクシャミをした。
ダウンコートを難なく突き抜ける冷気に肩をすぼめる康平に、私は白い息を吐きながら笑いかける。