一途な御曹司に愛されすぎてます
 私の恰好、ドレスコードに引っかかってないかな? 『矢島様、その恰好は当レストランでは少々……』とか言われたらどうしよう。

 俯きがちに視線を落とす私の様子からそんな不安を感じ取ったのか、彼が声をかけてきた。


「とても素敵です。お似合いですよ」


 優しい声に、私の顔がふと上がった。

 専務さんの整った顔に浮かぶ温かな表情に目が惹きつけられる。


「そのドレスもネックレスも、矢島様の魅力をより一層引き立てています。あなたはパールがとてもよく似合うんですね」


 そして彼はいったん口を閉じ、私をじっと見つめて、少し照れたように目を細めた。


「私は、宝石の中でパールが一番好きなのです」


 胸の奥がキュンと音をたてて、彼の笑顔に見入ってしまった。

 さっきまで不安でギシギシしていた心が、彼のおかげであっという間に解れて軽くなっていく。

 そっか。専務さんはパールが好きなんだ。このネックレスを持ってきてよかった……。


「それでは参りましょう。レストランまでご案内します」

「あ、はい」
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