一途な御曹司に愛されすぎてます
 浮つく心を隠しながら廊下を進んでエレベーターに乗り、ふたりで一階のレストランに向かう。

 ホテル内は明りの灯ったシャンデリアが重厚な雰囲気を醸し出し、昼の自然光のときとはまた違ったイメージだ。

 黄色味を帯びた暖色が一層気分を浮き立たせ、自然に足取りが軽くなる。


 でも案内されたレストランに一歩入った私は、店内のエレガントな雰囲気に圧倒されて怖気づいてしまった。

 凝った寄せ木細工模様のフローリング。カーテンの上品な濃緑色に、鮮やかな金糸の刺繍がとてもよく映えている。

 高いアーチ型天上のスワロフスキーシャンデリアが、ダイヤモンドのような透明度の高い輝きを放ち、壁に飾られた精巧な天使のレリーフ画を立体的に照らしていた。


 ほぼ満席のお客さん方全員、紳士淑女といった様子で雰囲気に馴染んでいて、これぞまさに大人の社交場といった感じ。

 場違い感をひしひしと感じて気後れしている私の背中に軽く手を当て、専務さんが奥の方へエスコートしてくれる。

 店内を見渡せる壁側の席に通され、彼が引いてくれた椅子に緊張しながら腰かけた。
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