一途な御曹司に愛されすぎてます
 頬のラインの丸みと小さめの唇がかわいらしいと友人たちは言ってくれるけど、こんな平凡を絵に描いたような私の、どこが康平の目に留まったんだろう?

 私にとっては世界七不思議に匹敵するくらいの大いなる謎で、鏡を見るたび本気で首を傾げている。


「康平、付き合って一年記念の旅行に誘ってくれてありがとう。でも私、本当に旅費を負担しなくてもいいのかな……?」


 ポツリと漏らした言葉に、康平は事もなげに即答した。


「この旅行は俺から淳美へのプレゼントなんだぞ? そんなの受け取れるわけないだろ」


 キッパリと言い切るその声の頼もしさに、私は惚れ惚れする。

「やっぱり康平ってすごいね。ありがとう」

 もう一度感謝の言葉を伝えると彼の顔が機嫌よく緩んだ。
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