嫌いな君を好きになる……
俺は、チラリチラリと君を見た。

見る度に、真の背中に隠れる桜。


そんなに嫌わなくても……と、思う。
確かに、少し乱暴だったけどーー

あんなに怖がると思わなかった。

今でもさっきの桜の怯えた顔が忘れられない。

震えて泣いて嫌がる桜。

自分が悪い。

わかってるのに、言えない俺。


「桜、俺の背中に隠れてな」


ムカッ。


「ありがとう、真くんって王子様みたい」



じゃあ俺は魔女か。

あー苛つく。


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