キミのせいだよ( 幼馴染じゃいられない )



「……悠翔の、何?」



グイ、と襟元を引き寄せられる。

背中が誰かの身体に当たって、背後を見上げた。



「あっ、あああ、蒼井君……!?」

「悠翔……?」



……君は、いつもわたしのヒーローだ。



「ただの幼馴染だって、言いなよ。陽咲」



たじろぐ彼女らを、冷ややかに一瞥する。



……わたしは君の、何なのだろうか。



十五、六年間ずっと、わたしと君とを隔てる関係の名称は "幼馴染" の筈だった。

そしてそれは、過去も未来も一生揺るぎない事実なのであって。



……なのに、言葉に詰まるのはどうしてかな。



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