キミのせいだよ( 幼馴染じゃいられない )
少しだけ、ドキドキしてる。
悠翔はしてるかな?……なんて、そんな事考えてる余裕は無かった。
視界の隙間から漏れ出したオレンジの陽光がちょっぴり眩しい。
「じゃあ、ね!色々とありがとう!良い報告ができるように、頑張ってみる!ばいばい!」
その身体を離しても、感覚はなかなかすぐに消えてはくれない。
「……うん。待ってる」
そう囁いた君の言葉に、答えられるように。
……早速、明日部活を見にいってみよう。
そうだ、莉兎は誘えるかな?
そんな事を考えながら、三角屋根で水色壁の、わたしの家に入った。
「……そういう事するから、俺はあんたを手放せないんだよ。」
……そう悠翔が呟いた言葉は、わたしの耳に入らずして、迫り来る薄闇に紛れて溶けた。