キミのせいだよ( 幼馴染じゃいられない )



「へえ、幼馴染がいるんだね!凄く仲が良さそうだね、羨ましいなあ」



大好きな先輩と、初めての会話が弾む事が嬉しい。

この時が、ずーっと続けばいいのになあ。



「はい、悠翔……って言うんです。今は訳あって、少し距離を取ってるんですけど(笑)」

「……悠翔?」



先輩の耳が、少しヒクついた。



「蒼井、悠翔?」

「……え……あ、はい……?」



ぼんやりと闇が滲んだ目元は、さっきまでの印象を少し変えた。

先輩、少しだけ怒ってる……?

何か、言っちゃいけない事を言ったのかな?

何で、何で悠翔を知ってるんだろう?



「あ……の、先輩……?」

「あっ、ああ!何でもないよ!僕最近生徒会の仕事が多忙で少し疲れてるから!」



そう言って、氷室先輩は耳元に手を添えた。

……なんだ、気のせいだったかな。


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