キミのせいだよ( 幼馴染じゃいられない )



……軈て、拘束された手首を解かれ、二人の間に距離が空いた。



「……冗談だよ。ちょっと揶揄っただけだって。目覚めた?」



いつもと同じ表情で、君が意地悪く微笑む。

あはは、っていつもみたく笑い掛けようとしたのに、少しぎこちないかな。



……未だ止まない鼓動が、少し鬱陶しかった。



「俺、選抜リレー出なきゃ行けないから。」

「わ、わたしも莉兎に心配かけるからそろそろ行こうかな!」



ぐちゃぐちゃになった布団を綺麗に畳直して、職員室にいた先生に挨拶して、グラウンドに向かった。

話題を持ちかけようとしても、詰まる言葉。



……いつもの距離感、どのくらいだったっけ。


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