キミのせいだよ( 幼馴染じゃいられない )
もう一度グラウンドへ立ち還れば、未だ冷めない熱気に圧倒された。
……思わず、身震いをする。
「汗冷えたらまた風邪引く。着てなよ」
そう言って、悠翔は自分の着ていた長袖ジャージを私の肩に掛けた。
「……俺、召集だから。」
「あっ、あの!ありがとう!迷惑かけて……ごめんね……。」
君の香りに包まれて、何故だか目を合わせることが出来ない。
やり場を失った視線が君の手元を過った時、その手が動き、私の額付近で止まった。
……そして、ビシッと音を立てて華麗なデコピンが飛んでくる。
「いたっ」
「謝んなくていいよ。じゃあね」
ヒラリと一往復だけ振られた手。
……去り行く背中に、わたしも上げ掛けた手を、そっと降ろした。