1%の甘さで
よく見ると、手でスマホを握りしめていた。
顔はよく見えないけど、あの人は泣いているように感じた。
私…なにしてんだろ。
早く帰らないとこのままじゃバカでも風邪を引いてしまう。
なのに…足は止まったまま。
あの人の顔から雫がすべり落ちた。
この雨の中、雫…いや涙が落ちたなんてわからないのに私には涙にしか見えなかった。
足も動かず呆然とあの人を見つめる。
何分、何時間、その場にいたかなんてわからない。
でもなぜか動かずあの人を見つめ続けていた。
…電話がかかってくるまで。
ハッとして私が電話にでると、お母さんがかけてきたらしく慌ただしく要件を言った。
「茉莉お願い!洗濯物急いで家に取り込んでくれない?」
あぁ…そっか今日は天気のはずだったもんね。