1%の甘さで
もし、私が適当に喋った猫語が『私は猫より犬派だもーん!ベロベロバーっ!!』なんてこと言ってたら大変だ!
「猫ちゃん!こっちおいでよ」
猫語作戦は諦め、ゆっくりと近づく。
猫ちゃんは私をめちゃくちゃ警戒してるみたいで、私が1歩近づくと、3歩下がる。
その繰り返しをしていたら、ずっと猫ちゃんとの距離が縮まらない。
「なにしてんの」
突然聞こえてきた声にびっくりして猫と同じ体勢のまま固まる。
目の前の猫ちゃんが喋るわけないし、私の後ろから声が聞こえてきたし、ゆっくりと振り返ってみる。
「あっ…」
私の後ろに立っていた人物に再び私は驚いた。
「…あんた」
優哉先輩も私だとは思ってなかったらしく、驚いている。
見つめ合うこと6秒間。
気づくと私は、息を止めて優哉先輩を見つめていた。