1%の甘さで
なんなら私の名前すら覚えてくれてない可能性だってあるからね!
一回も名前で呼ばれたことないし…。
「おい」
会って日は浅いから当然なのに、縮まらない距離に焦ってしまう。
明日から毎日教室訪ねて話しかける?
いつもの私なら一直線に行動して、後悔は後回しって感じで突っ走るけど。
迷惑じゃない?
本気で嫌がられたら?
とか、色々考えてなかなか行動に移せない。
「おい!……おい、茉莉!!」
「…へ?」
いつの間にか考え込んで下を向いていた私を覗き込むようにすぐ目の前に優哉先輩が立っていた。
思ったより近い距離に固まり、反対に心臓は尋常じゃない速度で脈打っていく。
え、え!?
近い近い近い近い!!
ってそれよりも!
「今!名前で呼んでくれました!?」
「………」
私から無言で距離をとった優哉先輩に、今度は私から距離を詰める。