隣の席の気になるあの子
彼女は俺が見ていることに気づいて体をこちらに向けた。



「じゃんけんだよね。」



彼女はいつも以上に緊張してるのが伝わってきた。



「うん。」



彼女は、俺の目を一瞬チラッと確認して掛け声をだした。



「さいしょはグー。」



(椎名)えっと、いつも中村くんはチョキをだすから負けるには…。
(中村)勝つには…。



「じゃんけん、ぽいっ。」



「あー、負けたって…えっ!」



彼女は驚いたように俺たちの結果を見て呆然としていた。



そんな反応を見て、かわいいと思ったのと同時に嬉しさで顔がにやけてしょうがなかった。



「…あいこだね。」



俺達はそろいもそろってお互いパーをだしていた。



彼女、今日は負けようとしてくれたんだ。



俺は同じ考えだったことや彼女の反応の面白さで笑いがこらえきれなくて口元を隠した。



彼女はそんな俺に気づいて、下からのぞき込むように俺を見た。



「中村くん、笑ってるでしょー。何でそんなに笑ってるの?」



彼女は少しむーっとした表情をした。



「か…、驚いている顔が面白くて、それにきっと考えが一緒だったなって。」



俺は彼女にかわいいと言いそうになったが必死に言葉を飲み込んだ。



「…???どーゆうこと?」



彼女は気づいていないっぽいのでやっぱり鈍感だなと思った。



「…ほら、あいこっで、しょっ。」



俺は続けてパーをだし、彼女はチョキをだした。



「…あっ。」



「俺の負けだね。」



俺は、彼女の目を見てにやりと笑った。


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