君とスマホと僕と
転校
「転校生連れてきたぞ。皆仲良くしてやれよ」
朝のHRで担任はうざいくらいに元気よく言った。その横ではニコニコとこちらに笑顔を向けてくる転校生。
彼はきっと僕の存在に気づいていない。それは僕にとっては幸いだった。
一番後ろの窓際の席で僕は事も無げに窓の外を見る。興味がないというアピールだ。
「如月陵馬です。よろしくね。」
陵馬と名乗る転校生に女子はキャーキャーと煩い。僕には全くと言って良いほど気持ちがわからない。
「如月の席は神谷の隣な。神谷、頼むぞ。」
いきなり名指しをされ僕の喉からうっと変な声が漏れた。黒板へ向けた僕の視線と転校生の視線がバチッと合った。
瞬間転校生の彼は満面の笑みを称え大声で、
「遊宇君昨日振り!」
と、宣った。しっかりアカウント名で。
表情の消えた僕と満面の笑みの彼。二人の表情は異様なコントラストをつくりあげていた。
< 1 / 10 >

この作品をシェア

pagetop