君とスマホと僕と
ここまでが昨日の経緯だ。以下略ではあるが、その後、陵にいろんな所へつれ回された。しかし、そんなこと今はどうでもいい。なぜなら僕は今、奴のせいで最大限の視線を浴びされることになっているからだ。居たたまれない。
しかし、公共の場でで大声で相手のアカウント名を呼ぶのはマナー的にどうなのだろうか。
そんな僕の思いも露知らず陵はこちらに歩み寄ってきた。屈託のない笑顔で。
「よっ!遊宇君。」
「人違いじゃないですか?」
僕は他人と喋るときのやや高めの声を出した。あくまでも他人の振りに徹しようじゃないか。
「酷いな~。昨日会ったばっかりじゃないか。」
陵はカラッと笑った。しかし、こいつは何故僕の格好を見て何も言わないのだろうか。
「え~?なになに?副委員長、転校生とどういう関係?」
クラスの男子が面白そうとでも言うような感じで訊いてきた。本当にうざい。
「人違いだ。それと、今はHR中だ。転校生君、早く席に着こうか?」
僕の言葉に陵が渋々席に着きHRは再開した。
僕への、否、僕らへの視線は半減した。
「ねぇ、遊宇君。」
「言っとくけど、僕のことバラしたらお前も道連れだから。覚えときなよ、陵。」
僕はやや小さめの低い声で呟いた。陵は一瞬嬉しそうな顔をしたが神妙な顔になりコクコクと頷いた。
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