君とスマホと僕と

「神谷凉音（すずね）。呼び方は他の奴らに合わせてくれて構わないよ。」
僕は澄ました口調で名乗った。と、突然、クラスの男女が「あれ？」と言った。
「そういえば、なんで如月は副委員長とその、ゆうって奴を間違えたんだ？副委員長、こう見えて女子だけど。」
「こう見えてってなんだよ。」
僕、否、私は不満げに声をもらした。確かに私は短髪なので男子に間違えられることがあるが、こう見えてなど言われる筋合いはないだろう。
「え？遊宇君って、女子だったの？」
「遊宇君って言うのやめてくんない？ややこしくなる。」
私は顔をしかめた。て言うか、今まで気付いてなかったのかよ！私は半ば呆れ気味にため息を吐いた。
「じゃあ、凉音？」
陵の言葉に私は驚いた顔をした。と、思う。しかしすぐに表情を改めた。
「なんで名前なんだよ」
私の言葉に陵は首を傾げた。
「あれ？ダメだった？」
「別に。じゃあ私はお前のこと陵馬って呼ぶよ。」
ズルいという女子たちを言葉巧みに黙らせた。陵は早くもクラスに馴染んでいった。