お楽しみが待ってる

洋平との過去は、社員にはもちろん
話してない。

だから、歓迎会に出席しない理由を
作ることができずに。

洋平と、新しく入った社員たちの歓迎会に、
社長として参加した。

女性が多かった中、経営のプロとして
何人か雇った男性たち。

独身が多い女性社員たちは、
できる男風な洋平へのチェックは
抜かりなかった。


お酒も入ってるからこそ、
社長!いい男を雇ってくれて、
ありがとうございます!

会社に来る楽しみが出来ました!
さすが、社長!!
なんて、あからさまに喜んでいる。


同じ年頃の、社員ばかりなせいか
洋平だけでなく、他の男性社員たちも
気軽に話が盛り上がっているようだった。


みんな、楽しそう。
社長としては、嬉しい。
でも、この場にいるのはちょっとキツイ。

なんせ、2年経ってもまだ忘れられなかった
男の顔が、そこにあるんだから…さ。

もうあたしを見ない…好きな男の顔が。


ふぅ…飲みすぎたかな。
社長がいつまでもいても申し訳ないし。

よしっ、と、立って。

じゃあ、あたしは一足先に退散するね。
後は、みんなで楽しんでちょうだい。

と、言うと。

えー!社長、まだ飲みましょうよー。と
引き止めてくれる。

なかなかに嬉しいけど…。

あたしも、お楽しみが待ってるもんだから。
と、笑うと。


やだー社長ずるいー!うらやましー。と
酔っ払いたちが、色めき立つ。


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