イジワル御曹司ととろ甘同居はじめます
確かにふさわしいとは思ってないし、そもそもそんなんじゃないけど

「そんなに恋人同士には見えない？だったら見せてあげるよ」

それは一瞬の出来事だった。

建一さんは私の方を向くと今までに見せたことのない優しい眼差しを私に向けると、私の顎にそっと手を添えた。

そして顔を斜めに倒すように近づくと私にキスをした。

一度唇が離れると小さな声で「目を瞑って」と囁き再びキスをした。

生まれて初めてのキスがまさか面前とは。頭は真っ白だし、いくら話の流れだとしても兄となる人とキスって？

どうしたらいいの？

唇がゆっくり離れると、いつのまにか再びギャラリーが・・・

でもそれに対応するように建一さんが怒りを露わにする。

「ふさわしとかそうじゃないとかあんたらに言われる筋合いはないんだよ。よそよそしい？あんた達に好奇の目で見られて普通にできるわけないだろう？」

建一さんの口調が荒くなる。表情も険しくて今まで見たことがないくらい怒っている。

「でも･･･それは七瀬さんの事を思っ――」

「冗談じゃない。これ以上俺の女を侮辱するような事を言ったら絶対に･･････許さないからな」

建一さんは私の手を取ると早歩きで会場を後にした。
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