イジワル御曹司ととろ甘同居はじめます
聞き流せばよかった。だけど今の一言で私の何かが弾けた。

「そうですよね。建一さんには関係ないですよね。でも一応報告だけしますが、今日彼から結婚を前提に付合いたいと言われました。私、それをお受けしようと思ってます」

「え?」

「あっ!それと信君のお父様はアクシスの社長ですので七瀬の名に恥じない方です」

本当は面と向かって言いたいのに、もしここで振り向いたら気持ちが揺らいでしまいそうで背中を向けたまま答えた。

だって関係ないと突き放されたのにそれでもまだ心のずっと奥の方で『やめろ』と言ってほしい自分がいるんだもん。


何でこんな人を好きになったんだろう。特別優しいわけじゃない。むしろ私には冷たかった。

いつも上から目線で胸のでかい女は嫌いだっていうのに時々愛おしそうに私を見るし、私のご飯をいつも美味しそうに食べる。風呂上がりに全裸を見られたのに謝ってくれない。それなのにいつもドキドキして、もっと話がしたい。一緒にいたいって思ってしまう。

でも私たちはいずれ兄妹になる。そんな人をを好きになっちゃいけないんだ。

「みずほ?」

だから信君と結婚する。

だってもう楽になりたいんだもん。

「お前は・・・それで幸せになれるのか?」
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