イジワル御曹司ととろ甘同居はじめます
「幸せになる」

説得力のない小さな声で我ながら情けない。

「だったらなんで俺に背を向けるんだ。そういう大事な事は俺の目を見て話せよ。」

「嫌だ」

私は思い切り首を横に振った。

だがそれで納得する建一さんではなかった。

「何が嫌だ、だ。ほら・・・こっちを向けよ!」

そして後ろから私の肩を掴み自分の方に向かせた。

「みずほ?!」

顔を見られたくなくて顔を背ける。

「だったら・・・だったらやめろって言ってよ。そんな男と結婚なんかするなって…言ってよ。でも言える訳ないよね。建一さんにとって私は突然できた妹に過ぎないんだもん」

あ~。言っちゃった。こんなこと言うつもりなんてなかったのに・・・もう自分が嫌。

「あ~あ。つくづく自分が情けなくなるよ。好きな女にこんなこと言わせるなんてな・・・」

「え?!」

今なんて言った?今好きな女って言った?聞き間違いじゃないよね?

建一さんの真意を確かめる様に顔を上げる。

真っ直ぐな目で私を捕らえるような目に動けなくなる。

「お前は俺の女だ。幼なじみか何だか知らないが、そんな男と結婚なんかさせてたまるか」
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