イジワル御曹司ととろ甘同居はじめます
持ち場に戻ると、エントランスでの出来事を知らない人達が私を見てコソコソと話をしている。

ここで黙って痛い視線に耐えているだけじゃ七瀬の家族にはなれない。

今こそちゃんと言わなくては

「大沢さん」

タイミングがよすぎなのか三浦さんがまるで経理部代表と言わんばかりにの勢いで私の後ろに立った。

「なんでしょう」

でも思ったよりも自分が落ち着いていることに驚く。

「私見ちゃったの。大沢さんが営業の七瀬部長の車でイチャイチャしているのを・・・ねえ~どんな手を使ったの?どうせ私たちが合コンって騒いでるのをよそ目に七瀬部長に色目使ってたんでしょ?」

本当に憶測だけでよくここまで堂々と言えるなと思う。

私は大きく深呼吸をすると今まで見せたことのない鋭い目つきで三浦さんを見る。

「確かに私は七瀬部長とお付き合いしています。ですが皆さんが想像している様な色目を使ったりなど一切しておりません。それに色目ってなんですか?今まで誰とも付合ったことのない私にそんなこと出来るわけないです」

「は?何言ってんの?私知ってるんだから。言い寄ってきた男をもてあそんで捨てたとか」

三浦さんの目を見て本心をぶつけると彼女は苦虫をかみつぶした様な顔で私を見た。

「お言葉を返すようですが、それ誰から聞いたんですか?言った人連れてきてくれませんか。実際にその場にいて、見たというのなら言われても仕方がありませんが、見ていないのなら憶測で言わないでください」

心の中で冷静になれと呪文を唱えるように言い聞かせながら言ったものの、三浦さんの表情は変わらぬどころか更に険しい表情を浮かべた。

「はあ?何いい子ぶってんの?」

今の言い方に流石の私もカチンときてしまった。
< 183 / 225 >

この作品をシェア

pagetop