イジワル御曹司ととろ甘同居はじめます
パッと顔を上げると鏡に映っているのは部長。でも私の知っている部長は優しくて思いやりのある人だ。
　
今聞こえた声は私の聞き違い？

「そんなんだから胸のでかい女はバカっぽいって言われるんだよ」

え？今なんて言ったの？

鏡に映る部長から出た言葉は私の知っている部長じゃなかった。

しかもいつも会社で見せる爽やかさも、食事中に料理を褒める優しい声もここにはない。

「あの…どっちなんですか？」

「は？」

「会社で見せる優しくて思いやりのある部長と今の部長、どっちが本当の部長ですか？」

「さ～ね～」

もしかしたら私の存在が邪魔？だから私にだけ冷たい？

「あの･･･もしかして私の存在が邪魔なんですか？」

部長と鏡越しに目が合うと露骨に不機嫌そうな目で私をみる。そして部長の口から出た言葉に私は真っ白になる。

「俺、胸のでかい女が大嫌いなんだよ。悪いけど、もし仕事を続けるって言うなら七瀬を名乗らないで欲しい。
それと会社で会っても軽々しく声をかけるな。…俺の事間違っても『兄さん』とか『お兄ちゃん』なんて
言わないでくれよ。俺はあんたのこと妹だなんて思ってないから」

会社では見せたことのない冷たくとげとげしい言葉に返す言葉もなかった。
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