イジワル御曹司ととろ甘同居はじめます
私たちが港に着いたときには既に乗客は下船していた。

沢山の人の中から2人を探すのはかなり大変で健一さんとはぐれないように後ろにぴたっと付いていた。

すると建一さんが私の手をしっかり握る。

一瞬、手なんか繋いでいいの?と思ったが

「迷子の呼び出しされるのは嫌だろ?」

いたずらっ子みたいにニヤッと笑われたら何だかもうどうにでもなれって気持ちになった。

そしてしばらく歩いていると私たちを見て大きく手を振る女性を発見。

母だ。

「建一さんあそこにいる」

建一さんに指をさして教えると社長も気付いたみたいでお互いに駆け寄る。

「お帰りなさい」

「ただいま~。みずほ・・・建一君。長い間本当にありがとね」

母も社長もとても元気そうだ。

「いいえ。とりあえず荷物も多いことだし、車まで行こう」

建一さんが母のスーツケースを押し前を歩く。社長も並ぶように前を歩く。

私は母とその後に付いていく。

「ところでどうだった?船の上は」

「もう~最高。一生分の贅沢をしたって感じ。お友達も沢山で来て・・・本当に楽しかったわ」

すると社長も会話に入る。

「僕も人生でこんなに長い休みを取ったこともなかったし、仕事の事も完全に忘れていたよ」

「大丈夫です?今日から普通の日常が始るんですよ」

「何言ってるの。これからは新しい家族との生活が始るのよ。凄く楽しみよ」

私はそれには返事をせず建一さんの背中を見た。
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