イジワル御曹司ととろ甘同居はじめます
どの位頭を下げていたのだろう。

「頭を上げないさい」そう言ったのは母ではなく。社長だった。

「縁というのは本当に不思議なもんだね。私と亜由美さんの出会いもそうだったけど、私たちが出会わなければ
この二人が出会う事もなかっただろうし、私たちの入籍がまだなのも、なるべくしてなった・・・そう思うんだよ」

「・・・そうですね」

母がしみじみと頷く。

確かに社長の言うとおりだ。

今まで同じ会社で働いていたが接点といえるのは仕事のみ。

お互いに気にもしていないようなそんな2人だったのに、母の再婚で状況が一気に変わった。

もし母が再婚しなければ私たちはこうなっていただろうか?

すると母がまたクスクス笑い出した。

「ごめんなさいね。こんな時に笑ってしまって。でも凄いと思わない?親同士、子供同士が好きになるなんて奇跡みたいじゃない。それにさっき建一君が『俺にはみずほ以外考えられないんです』って言ったでしょ?あなたのお父さんも同じ事言ったのよ。『俺には亜由美さん以外考えられないんです』って親子だなって思ったし・・・みずほも私に似て好きな男性のタイプが同じなんだって」

社長をみると凄く顔を赤くさせている。

「そ、そういう事だから・・・安心しろ。2人を兄妹にさせることはしないし、私たちの入籍も特に急ぐ必要もないんだから・・・ね。亜由美さん」

「そうですね。で?二人はいつ入籍するの?結婚式はどうしましょう?ドレス?和装?」

「え?そ、それは・・・」

いきなり結婚が現実味を帯び始め戸惑う。
< 214 / 225 >

この作品をシェア

pagetop