イジワル御曹司ととろ甘同居はじめます
「２DKのアパートが懐かしい」

「は？」

「小学生から今まで生活していた私にはあの狭さが丁度よかったって実感中。無駄に広い部屋になれるには時間がかかるね」

「なんか…贅沢な悩みだね」

本当はそうじゃない。

義理の兄に絶賛嫌われ中で、そんな人と3ヶ月も同じ屋根の下で暮らさなきゃならない。

しかもその初日に全裸を見られた。

なんて言えるわけなくて。

「そうなのかな？」

「そういえばさ～みずほの新しいお父さんの方に子供がいるって言ってたよね。どんな子？」

「どんな子？って･･･」

まさか同世代でしかも文佳がよ～く知ってる人だよ。なんて言えるわけがない。

「え～気になる～。だって、元々血のつながりのない他人がいきなり家族になるんだよ。それでもし相手が自分と同世代でしかも異性で独身だったら？おまけに凄くタイプの人だったらどうする？キャ～」

文佳の妄想は完璧だ。まるで知っているかのような描写だ。

それにぴったりな人がいるよと言ったらどうなるだろう。

でも外面がいいだけの最悪な兄だけどね。とも言えない。

「いないよ。そんなひと」

友達とはいえ今は本当の事が言えなかった。

「なんだ～つまんな～い」

はいはい。何とでも言ってください。
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