イジワル御曹司ととろ甘同居はじめます
「大沢さん」

「はい」

「もう、単刀直入に言います。僕大沢さんが――」

「宮田」

聞き慣れた声にハッとして声のする方を見ると部長が立っていた。

「ぶ、部長」

「休憩中に悪いが、早急に頼みたいことがあるから来てくれ」

宮田さんは凄く困った顔をしながら私と部長を交互に見る。だが

「わかりました」

ガクっと肩を落とすとカレーの乗ったトレーを持って席を立った。

「大沢さん、続きは後日に」

そういうと部長と行ってしまった。

文佳は後ろを向き２人の姿が見えなくなると急に笑い出した。

「ちょっとあれ、明らかにわざとだよ」

いっている意味が分からず首を傾げる私に文佳は

「部長が宮田さんの告白を阻止したってことよ」

「はあ？」

意味が分からずポカンと口を開ける私に文佳が呆れ顔で溜息を吐いた。

「だからね。宮田さんはみずほに気があるの。部長もみずほに気があるの。わかる？宮田さんにみずほを取られたくなかった部長がそれを阻止したってこと」

文佳はドヤ顔で言うが、それは違うのだ。

きっと七瀬の名にふさわしい行動をしなきゃいけないという監視の目だと思う。

文佳は私と部長が兄妹だということを知らない。
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